組合を結成したい!組合活動って?

労働組合 入るも作るも法律で保障

活動報告写真

<労働組合とは>
<労働組合法の目的>
<労働組合の要件>
<労働組合規約の作成>
<不当労働行為>


<労働組合とは>
「労働者が、労働条件の維持改善を主な目的として、自主的・民主的に運営する団体」です。労働組合は働く者の権利を守るために、会社と対等の立場で団体交渉をすることができます。労働組合の結成・加入は憲法や労働組合法で保障されています。

【憲法で保障されている「労働三権」】

  • ①労働者が団結する権利(団結権)
    ②労働者が使用者と交渉する権利(団体交渉権)
    ③労働者が要求実現のために団体で行動する権利(団体行動権(争議権)
    (憲法27条・28条、労働基準法第1条、労働組合法第7条)

①団結権
労働者がみずから経済的地位の向上を図るための団体(労働組合)を組織する権利のことをいいます。
②団体交渉権
団結した労者が使用者と対等の立場で労働条件の問題について交渉する権利のことをいいます。
③団体行動権(争議権)
「その他の団体行動をする権利」とは、主にストライキなどの争議権を指します。労働者が、その要求を実現するために結束して、労働力を引き揚げ、使用者の業務を阻害することにより、使用者に圧力を加え、交渉を有利にすすめる権利のことをいいます。


<労働組合法の目的>
・労働者が使用者との交渉において対等の立場にたつことを促進することにより、労働者の地位を向上させること。
・労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出すること、その他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結を擁護すること。
・使用者と労働者の関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること、およびその手続きを助成すること。
労働組合法は、その目的を達成するために次のような規定を設けています。

【労働組合法の目的を達成するための規定】

  • ①労働組合の正当な行為についての刑事上の免責
    ②労働組合に対する不当労働行為の禁止
    ③労働組合の正当な争議行為についての民事上の免責
    ④労働組合の法人格の取得
    ⑤労働協約の締結
    ⑥労働委員会の労働者委員の推薦
    ⑦労働委員会に対する不当労働行為の申立ておよびその救済
    (①③:労働組合法第1条2項、第8条)

例えば、争議権の行使であるストライキは、労働組合が集団的に労務の提供を拒否するものです。これを形式的に見れば、民事的には「債務不履行」(労働契約で義務づけられた労務提供の拒否)であり、刑事的に見れば、威力業務妨害罪に該当する可能性もあると言われています。しかしながら、労働組合法は、このストライキ権を労働組合が正当に行使する限り、民事・刑事のいずれの面からも労働組合の責任を免じているのです。

<労働組合の要件>
労働組合を結成しようとするときは、2人以上の組合員がいることが必要ですが、労働組合がその機能を果たすためには、過半数以上のできるだけ多くの従業員で結成することが望ましいといえます。
労働組合法では、労働組合が、労働組合法の保護(不当労働行為の救済制度もその一つです。)を受けるためには、次の要件を備えていなければなりません。

【労働組合の要件】

  • ①その労働組合が、労働者が主体となってつくられていること。
    ②労働者が自主的に運営していること。会社の指示に従って活動するようなことはなく、労働者が自らすすんで活動すること。
    ③労働条件の維持改善を主な目的としていること。

労働組合に使用者側の人が入っていたり、会社から、労働組合としての活動に必要な経費を援助してもらっているときには、この要件にあてはまりません。
また、組合員が結婚したり、災害に遭ったときに祝金や見舞金をだすというような共済事業だけを目的としている団体や、選挙運動のような政治活動だけを目的としている団体も除かれます。


<労働組合規約の作成>
会社には就業規則(社内規定と呼ぶ会社もあります)が定められていますが、労働組合法にも、その仕組みをどうするか、いろいろなことをどういう方法で決めるか、ということを定めた「規定」が必要です。その規定を労働組合規約といいます。労働組合規約には、労働組合の活動が民主的に行われるように、次のことを定めておかなければなりません。

【労働組合規約に定めなければならないこと】

  • ①労働組合の名称。
    ②主たる事務所の所在地。
    ③組合員の全員が、労働組合のあらゆる問題に参加でき、差別的取扱いを受けないこと。
    ④組合員はいかなる場合も、人種や宗教、性別、身分などの違いで、組合員としての資格を奪われないこと。
    ⑤役員の選挙は、組合員又は代議員の直接無記名投票で行うこと。
    ⑥総会は、少なくとも毎年1回開くこと。
    ⑦組合費など労働組合の財源やその使いみちなどの経理状況を、少なくとも毎年1回、組合員に公表すること。この場合、公認会計士などの資格を持っている人に監査してもらい、間違いないという証明書をつけること。
    ⑧ストライキは、組合員又は代議員の直接無記名投票を行って、その過半数の賛成がなければ行わないこと。
    ⑨規約改正をするときは、組合員又は代議員の直接無記名投票を行って、投票しなかった人や無効の投票を含めた全組合員又は全代議員の過半数の賛成を得ること。

 


<不当労働行為>
労働組合が正当な活動をしたことを理由に、会社がその労働者を不利益に取り扱うことは、不当労働行為にあたります。
次のような行為は、不当労働行為として禁止されています。

【不当労働行為】

  • ①労働者に対し、労働組合員であることなどを理由として不当な扱いをすること。
    ②労働組合に加入しないことを採用条件とすること。
    ③理由なしに団体交渉を拒否すること。
    ④労働組合の活動に介入したり、経費援助したりすること。
    (組合事務所の供与等は経費援助とはならない)

①不利益取扱い(その1)

組合員であること、組合に加入したり結成しようとしたこと、もしくは組合の正当な行為をしたことをもって、解その他不利益な取扱いをすること。組合に加入しないことや脱退することを雇用条件にすること。
例)
・組合活動を理由に解雇や労働契約の拒否・定年後の再雇用を拒否する。
・組合の中心人物を遠隔地へ配転したり、出向・転籍を命じたりする。
・組合員に対して、低い査定を行い賃金面や昇格に関して差別をする。
②不利益取扱い(その2)
労働者が次のいずれかに該当することを雇用条件とする契約(黄犬契約という)を結ぶこと。
例)
・労働組合に加入しないこと。
・労働組合から脱退すること。
③団体交渉拒否・不誠実団交
団体交渉を正当な理由なく拒んだり、誠実に交渉しないこと。
例)
・単に文書だけで回答し、きちんとした説明を行わない。
・はじめから労働協約を締結する意思がないことを宣言するなど、合意達成意志のないことを明確にした交渉。
・実質的に交渉権限のない労務担当者による交渉。
・回答はしても組合を納得させるに足る説明をせず、その論拠となる具体的な資料も提示しない。
・合理性が認めがたい前提条件や差し違え条件をつけ、それに固執した交渉。
・労使間でいったんは合意したことについて、労働協約締結段階で労働組合側が受け入れがたい新たな内容や条件を盛り込むことを主張し、妥結を不当に遅らせること。
④支配介入
組合の結成や運営を支配したり、これに介入すること。運営のために経理上の援助をすること。
例)
・社員会など親睦団体や第2組合の結成を援助し、第1組合の結成や活動を阻害する。
・組合の存在を否定したり、非難する発言をする。
・組合の役員選挙、その他組合の活動、運営に介入する。
・組合の中心人物を解雇、出向、遠隔地に配転する。
・団体交渉権を無に帰するような団体交渉拒否や不誠実な団交を行う。